菅義偉氏が9月14日に自民党総裁、16日に内閣総理大臣に就任しました。
菅首相は、安倍内閣時代にIR推進本部へ所属しており、新内閣においても引き続きIR推進本部とIR産業の担当にあたります。

それに対し、IR誘致の候補地である横浜・大阪・和歌山・長崎の4首長が菅政権への期待を述べました。

横浜・林文子 市長 「地方創生にも尽力いただけると期待」

横浜の林市長は、菅首相の就任について「感激しており、心から喜んでいる」とIR推進への動きに胸を膨らませています。

菅首相は以前、横浜市会を2期務めており基礎自治体の仕事への理解も深いと考え、「地方創生という観点でも尽力いただけると期待している。」と述べました。

またIR誘致に関して、「菅総理だからとか安倍総理の時代だからということはないと思う。」と、国の方向性や方針決定の発表を待つとしています。

横浜市の近況

林市長は9月18日、令和2年度・3年度の方針について、IR推進事業を含む諸事業の予算を精査すると言及しました。
職員に対しては事務や事業の徹底的な見直しを通知し、IRについては国のスケジュール変更などを反映したうえで計上のタイミングを再検討するとしています。

大阪・吉村洋文 府知事 「安倍首相よりも推進派だと思う」

大阪万博の開業に引き続きIR誘致を目指す吉村知事は、「菅首相はIRについて非常に前向きに進めてきた。安倍首相よりも推進派だと思っている。」と、今後IR推進が確実に進められることを待望しています。

国への認定申請時期については、2021年1~7月予定である基本方針案がどうなるのか、新総理のもと国の判断を待つとしています。

大阪府市の近況

コロナウイルスの影響で、国においても自治体においても遅延が生じているなか、大阪では国の基本方針がいつ出てもいいように準備を進めるとしています。
大阪府でもIRに関しての作業は休止状態となっていましたが、9月10日、戦略本部会議にて「大阪の再生・成長に向けた新戦略(仮称)」の議論のなかで、IRに関する発言がありました。

大阪府は戦略として今後のフェーズを「緊急対策期」「反転攻勢準備期」「反転攻勢期」に分けることを発表しました。

これらの3段階のうち、万博・IRを活かした「副首都・大阪」の推進は、反転攻勢準備期~反転攻勢期の戦略に位置付けられています。
緊急対策期の後となるものの、今後も夢洲を国際観光の拠点とするためにIR誘致を継続していく見通しです。

新しい戦略は11月頃に策定し、年内に決定する方針とされていますが、戦略の実施が開始する「反転攻勢準備期」フェーズに移る見通しは未だ立っていません。

和歌山・仁坂吉伸 県知事 「和歌山県の思いもわかってくれる」

新しい和歌山を創るためIR誘致に注力している仁坂県知事は、「菅首相はIRのスケジュールに関して変わらないと言ってきたので、きちんと前に進めてくれるだろう」と、停滞していたIR推進が前進することを見込んでいます。

前任でもIRの旗振り役であった菅首相は、国土交通大臣も留任しているため、「和歌山県の思いもわかってくれるのではないか。」と自治体への理解もあると信頼を寄せています。

和歌山県の近況

和歌山県は9月4日、IR誘致計画を巡って3つの市民団体から反対署名が提出されました。
市民団体は、コロナ禍前に作った計画をそのまま進めることに対して疑問を抱いています。
また、観光客からの収益も見通しが立たないため、コロナ禍に苦しむ人々の救済に回すべきと撤退を求めています。

18日、これに対し仁坂県知事は「嫌いだから誘致をやめるというのは将来世代へ無責任だ」と述べ、計画推進の意向を変えないことを示しました。

和歌山・仁坂吉伸 県知事 「和歌山県の思いもわかってくれる」

世界文化遺産登録や、コロナウイルスのクルーズ船集団感染対策において「格別のお力添えをいただいた」と菅首相に感謝を示す中村知事。
菅氏が総理大臣に就任を受け、リーダーシップで国民の期待に応えてほしいと述べました。

また、前例より地方創生の推進に期待できるとし、人口減少や九州新幹線の長崎ルート建設促進、IR誘致などの長崎県の大型プロジェクトにおいて、「一層のお力添えを賜りたい」と期待を込めました。

長崎県の近況

長崎県・九州IR推進プロジェクトチームは、IR事業者と県・九州の企業をマッチングする民間団体の設立について検討していることを9月16日、県議会の定例会において発表しました。
IR事業者と地元企業とのビジネスマッチングを行う団体は、大阪府市や和歌山県にもありますが、行政がリードするパターンは珍しく、今後も注目が集まります。

コロナウイルスの影響なども相まって、IR誘致の動きは停滞が続いていますが、菅政権が以前よりも積極的にIR推進を活性化し、国の方針を早期に決定することが候補地にとってもIR事業者にとっても要となります。

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