大阪IR 住民監査請求結果は「合議不調」 市民らは住民訴訟へ

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大阪府・市が誘致を進めるIR建設予定地の土壌対策費用をめぐり、市民らが行っていた住民監査請求について、市の監査委員は意見が一致しなかったとして「合議不調」との結果を通知しました。

この通知を受け、市民側は今後、住民訴訟をする方針です。

土壌対策費の公費負担は違法 契約差し止めを求め監査請求

IR建設予定地である夢洲は土壌汚染や地盤沈下のリスクを抱えていることから、大阪市は「土地所有者としての責務」として約800億円の土壌改良費の負担を決定していました。

しかし、元市議を含む市民ら5人はこれに対し、「過大な支出を制限する地方財政法などに違反する」と指摘。

さらに、市と事業者である大阪IR株式会社が締結した基本協定書では、「追加の対策費が発生した場合も市が無制限に負担するような内容だと解釈できる」として、事業者との定期借地契約の締結差し止めを求めて、5月11日に市へ住民監査請求を行っていました。

監査結果は「合議不調」 市民らは住民訴訟へ

大阪市が発表した資料によると、市民からの差し止め請求は妥当とする監査委員は「仮に通常の想定を上回る地盤沈下や地中埋没物が存在したときは、大阪市の負担が限度額を超えて増加する恐れがある。特に地盤沈下は今後長期間にわたり確実に発生するため、無制限に費用を負担せざるを得ない」と主張。

一方で、「支出額が巨額であることは、直ちに何らかの法令に違反するといったものではない。また、地盤沈下が市の埋立に起因するものである場合は、市が費用を負担することは合理性を欠くとは認められない。契約においても上限が設定されるため、無制限に負担せざるを得なくなるといった事情も認められない」との見解を示す委員もいたことから、意見が折り合わなかったとして、7月8日付で市民らへ「合議不調」の結果を通知しました。

市民の代理人である荒木晋之介弁護士は、「しっかりとした結論を出して欲しかった」と話しており、今後は住民訴訟を起こすとしています。

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