大阪IR用地の鑑定評価は不当、市民らが契約差し止め求め住民監査請求

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大阪府・市が誘致を進めるIR建設予定地の鑑定額が3社で一致したことについて、市民グループが住民監査請求を行いました。

市民らは契約は違法だとして、事業者との契約差し止めを求めています。

4社中3社で鑑定額が一致、安価な賃料に市議会でも疑問の声

大阪市はIR用地である此花区・夢洲の賃料算定を、2019年に4社の不動産鑑定業者へ依頼。

4社中3社が「1平方メートルあたりの月額賃料428円」と算定し、一致した評価額を提示しました。

しかし、業界の常識では評価額の一致はあり得ないとされていることから、市議会では「市が恣意的に誘導を行ったのではないか」といった指摘が相次いでいました。

また、大阪市はIR事業者に土地約49ヘクタールを年約25億円の賃料で35年間貸し出す予定としていますが、新駅やホテルなどが建設されるにも関わらず算定された賃料が著しく安いことなどから、「事業者への優遇ではないか」という声も上がっています。

「契約は違法」と監査請求も、市は「問題ない」との見方

85人からなる市民グループは、この不自然な金額の一致について「市の指示・誘導や業者間での談合があったとしか考えられない」と問題視。

さらにIRを考慮した鑑定も行われていないことから「賃料が不当に安く決めれられていて、地方自治法に違反する」として、借地権設定契約の締結差し止めを求めて1月16日、大阪市の監査委員に書類を提出しました。

住民監査請求を行った市民グループの代表は記者会見で、「事業者が最小の経費で最大の効果を上げられるように市が取り計らったのではないか」と話しています。

一方、土地を所管する大阪市港湾局はIRを考慮外にした理由について「IRの国内実績がなく算定が困難だと業者から意見があったため、大型ショッピングモールなどの『大規模複合商業施設』用地として類似の取引を参考に鑑定をしてもらった」と説明。

「IR予定地のような広大な土地の取引事例が少なく、評価額が一致した可能性がある。大規模複合商業施設の用地はホテル用地よりも評価が下がるため、賃料は適切に決めている」としており、一貫して「問題はない」との姿勢を取っています。

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